佳作

めぐる雨、あしたへ生きる

  • 佐藤 稜
  • 三重大学大学院 工学研究科
    建築学専攻
佐藤 稜

昨今の災害の多さから、応急仮設住宅を必要とする場面が増えている。しかし、仮設住宅は住環境の質にまで手が及んでいない場合が多く、被災者は地域性を無視した単なるハコでの非人間的な生活を強いられるため、二次的な精神被害を招いてしまう。そういった現状における地域性獲得のために「気候」というコンテクストに着目する。地域を限定しない気候を主軸として扱うことで、より大きな視野で地域性を考えることが可能となり、仮設住宅という決められた場所に建たない建築を設計する際には非常に重要なコンテクストとなるのではないだろうか。そのような気候の中でも雨は建築の原初的な要素であり、建築は雨の対峙によって生まれたとも言える。そこで「雨」と仮設住宅の関係を再考し、災害で冷えきった被災者の心に温かい交流を促すように、住宅も「働きもの」となって被災者の生活を支え、人と住宅が共に働いて暮らす仮設住宅を提案する。

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